虫歯と詰め物の関係性

 虫歯は口の中にいるミュータンス菌という細菌が引き起こす感染症で、その菌が出す酸によって歯が溶かされてしまう(脱灰)事で虫歯となります。

 実は、このミュータンス菌は生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には存在しないのです。

 では、その菌がどこからやってくるのかというと、お母さんやお父さんなど既にミュータンス菌に感染してしまっている大人から、離乳食を食べる際にスプーンを共有したり、同じコップで飲み回しをしたりすることによって、知らず知らずのうちにミュータンス菌を感染させてしまっているのです。そして、一度感染してしまったミュータンス菌は一生消えないため、私達を悩ませ続ける事になります。


治療しなくても良い虫歯

当院で使用している虫歯の予防グッズ

 虫歯と一言で言っても虫歯にはグレードがあり、その進行状況によって何段階かに分かれています。

 C1までの段階の虫歯では、まだ歯の表面にあるエナメル質という体の中で最も硬い部分に範囲が限られています。虫歯がまだこの段階であれば、唾液の緩衝作用という働きによって虫歯により溶けてしまった歯を修復させる事が可能です。

 唾液によるこの働きを再石灰化と呼び、唾液中に含まれるCaなどが、脱灰してしまったエナメル質に再度取り込まれる事で硬度を回復するのです。

 この再石灰化を促すためには、口の中を歯磨きやデンタルフロス(糸ようじ)をしっかり行う事で清潔に保つ事と、間食を減らして規則正しい食生活を心がける事が重要です。

 虫歯の治療は後述するように歯を削って代替物で詰め物をする事になるのですが、一度治療した歯は元通りになるわけではなく、あくまで代替物に置き換わるだけにすぎません。また、代替物も一生持つというわけではありませんので、初期の虫歯に関しては安易に削っての治療を行うのではなく、再石灰化によって歯を再生させてあげる事が最も良い治療法とも言えます。

 しかし、残念ながら初期の虫歯が進行してしまい結果的に治療が必要になるケースも少なくないため、自己判断するのではなく必ず歯医者さんでの定期チェックをしながら経過を観察していく事が重要です。


治療が必要な虫歯

歯が痛い女性

 虫歯がC1の段階を超えてC2以上になると、もはや再石灰化により自己再生を期待する事はできません。

 C2の段階での虫歯はエナメル質を超えてその下にある象牙質にまで細菌が及んでしまっています。象牙質は象牙細管と呼ばれる細い筒状の組織によって出来ており、歯の中心部にある歯髄(歯の神経)と繋がっています。そのため冷たいものを飲んだり甘いものを食べた際の刺激がこの象牙細管を通じて歯髄に伝わり、キーンとした痛みとして感じるようになります。

 このC2の状態を放置したままにしていると、虫歯が歯髄(歯の神経)まで進行してC3(歯髄炎)の段階になってしまい、神経をとらないといけなくなったり、C4の段階にまで達すると歯そのものを抜かないといけなくなってしまいます。

 そのため、C2の段階にまで至ってしまった歯については取り返しのつかなくなる前に早期に発見し早期に治療を施す事がとても重要になります。


虫歯の治療

コンポジットレジンを固める器具

 虫歯の治療法はざっくり言えば虫歯を削って代替物を代わりに詰める事です。この治療には大きく分けてCR(コンポジットレジン)修復というレジン樹脂を用いるものとインレー修復と呼ばれる金属やセラミックを用いた治療法の二種類があります。

 CRを用いた治療では虫歯になってしまった部分をドリルで削りとり、その穴にCRを流し込み、光を当てて硬化させます。即日で治療が完結するのと保険範囲内であっても白い素材で直せるという利点があるのですが、材質がやや弱く全てのケースで行う事ができるというものではありません。

 そのような時に用いられるのがインレーを用いた治療法です。インレー修復では、虫歯を削った後の穴にベースセメントという充填剤を一旦詰めます。それが完全硬化した後にドリルによって形を整え直し、型を採ります。型に石膏を流し込んで患者さんの歯型を再現し、それを元に技工士はオーダーメイドでインレーを製作します。インレーの素材にはいくつか種類があり保険の場合だと銀歯になってしまうのですが、自由診療であれば歯の色と遜色の無いセラミックなどでの治療法も可能です。


箕浦 正章
記事の監修

歯科医師

箕浦 正章

経歴

朝日大学医科歯科医療センター 研修医
都内一般開業歯科 勤務
2020年 医療法人社団相生会 入職